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2010年 12月 30日

Dream a Little Dream of me

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"Peter's dog"
Nikon D70






建物の裏側に回り、ゲートを開けて入る。
少し遠めに、明茶色のけむくじゃら集団。それが一斉にこちらを向いた。

こんな牛見たことないや。
毛足が長く、またそれがドレッドのようになっていて見た目がかなりワイルド。
動物が本気を出した時に人間は敵わないってことを知ってる私は少し足がすくんでしまった。
「あぁ、でもこちらがビクビクしてるとダメなんだよな。」
目をつぶって深呼吸をしてから、Davidさんの後ろについて足を踏み出して近寄ってみた。

知らない人が入ってきたからだろうか、やはり少し警戒している様子。
それでもDavidさんには寄る。さすが飼い主(あれ?飼い主とは言わないのか?)
「触っても大丈夫?」って聞くと「全然平気だよ。」というのでおもいきって手を伸ばしてみた。

感触的には羊の毛。しかし、目が怖い。
おどおどしてるのが伝わるのか向こうも触ろうとするとちょっとびくっとなる。
鼻をならされると思わず手を引っ込めてしまう。
Sさんは全然平気そうである。可愛い可愛いと撫でてるし。

と、その時1匹の大きめのやつが私に向かって足を速めてきた。
本気で怖くて少し声をあげたら、牛の方がびっくりして止まる。
なんだこの緊張感。私は闘いに来たわけじゃないのに。

仕方ないので慣れるまで、少し離れて写真を撮り始めた。

Highland cattleにばかり目が言ってたのだろう。
ふと柵の外側の方に目を向けるとなかなか素敵な風景が広がっている。
DavidさんとSさんはおしゃべりに夢中だったので、私はその少し離れた柵の方に向かって歩き出した。


イギリスにはリンゴの木が多い。
柵の近くにも比較的大きな、鈴なりのリンゴの木があった。
ちょっと独特な幹。このごつごつさと曲線が入り混じる感じがいいんだよね。

ローライのレンズを向けて上からのぞく。
左側にリンゴの木を合わせると、右側に穏やかな田園風景が現れた。
背景の雲が、綺麗に綺麗に流れて行く。
交響曲第6番。
ベートーベンが見ていた田園風景もきっとこんな感じだったのだろう。



どれくらい眺めていたのだろう。
気がつけば少し後ろにDavidさんとSさんが居た。
牧場内をぶらぶらと話しながら歩く。
なんだかいい感じ。友人とのこういう一時って素敵だなぁ。見ててほのぼのしてしまう。

牛の方もだいぶ慣れてきたのか近づいても大丈夫になってて、好奇心旺盛な1匹などは自ら私に寄ってきた。
ただカメラを向けるとまた警戒はする様子。
本能的にレンズが怖いのかな?狙われてるって思ってるのかも。
「後で餌やるからまた来るよ。」とDavidさんが言うので、
刺激しすぎないように数枚だけ撮って、我々はゲートを出た。


今度は敷地内の他の場所に私たちを案内すると言う彼。なんだかとっても嬉しそうだ。
そうだよね。Sさんと会おう会おうと中々会えず、やっと会えたんだもんね。久々に。
それまでに変わってしまったところとか、全部見せたいんだろうな、きっと。


「今日は寒いから、ヤギを小屋にいれてしまおう。」
少し進むと小さく区切られたスペースがあった。
中に入ると小柄な可愛いヤギが3匹現れてDavidさんにすり寄った。
ヤギが犬のようにじゃれつくところなんて見た事が無い。
唖然としながら見ているとDavidさんが「これはペットなんだよ。」と説明しながらその3匹にリードをつけ始めた。

「小屋まで散歩♪」

ヤギの散歩!なんて魅力的~。しかもこのヤギ達、Davidさんの横でものすごくはしゃぐのである。無茶苦茶可愛いのである。
私も1本持たせてもらったのだけれど、小さいくせに引きがかなり強い。
なんでもBagot goatと言われ、それはそれは古くからいるのが確認されてる種なんだそうだ。
(その歴史は600年以上前に遡るのですって!)


小屋、と言っても6畳以上はある、立派な屋根付き煉瓦作り。
近くまで行きDavidさんがリードを外すと、ヤギ達は自ら小屋へと走っていく。
中には大好物の乾燥させた牧草があるかららしい。

中がどうなってるのか見たかったので私も続けて小屋に入ってみたのだけど、
足を踏み入れた瞬間に私は固まってしまった。
そこはまるで絵画のような世界で、私は自分がその絵の中に入ってしまったような気にさえなってしまったのだ。

薄暗い部屋の中に窓から入る一筋の光が地面の一角を照らす。
その中で、白と黒の毛色の、それはそれは美しい角を纏ったヤギ達が藁を啄ばむ。
フェルメールの絵をウィーンで見たけれど、まさにそんな感じ。
自然光が作り出すやわらかな空気が、日常の何気ない1コマを美しくするのである。
「あぁ、神様、どうかこの様子をきちんと私に撮らせて下さい。」
今日のレンズじゃ多分ブレる。そう思いながらもシャッターを切らずにはいられなかった。



お昼御飯までもう少し時間があったので、この後我々は、裏庭からDavidさんの犬(ブルドッグ系?)を連れ出し、
Davidさんが個人で食べる野菜を育てているミニ菜園を見て、アヒルとニワトリ小屋を覗き、
キャンピングカーをねぐらとして与えられた(!)ご自慢の猫と挨拶をして、最初のMaypoleが置かれている場所へと戻った。


「ねぇ。Davidさんのところってトラクター何台あるの?」
いくつも並んだ車体を眺めて私が尋ねると、動かさないクラシックなものも含めると敷地内には8台はあるという話。
一仕事を終えて戻ってきて、横で私たちの話を聞いていたPeterさんが、
「運転席からの眺めがいいからちょっと座ってみたら?」と言ってくれたので遠慮なくそうさせてもらうことにした。

タイヤは私の背の高さ以上。エイヤっと足をかけて運転席に乗り込む。なるほど。すごいや。
コマツでも大きなトラックに乗せてもらった事あるけど、やっぱりいいわよねー。こういう工業系の車、大好き。

「動かしてあげようか?」という言葉に私は首を大きく縦に振り答えた。  「是非!!!」。


窓横の小さなスペースに腰をかけると、Peterさんがエンジンをかける。
うはー。動く動く。高ーい。眺めがいいー。
小屋の周りを1周して元に戻ると今度はDavidさんが口を開いた。

「saori、運転してみたら?」

マジですか?いいんですか?
ダメと言われていた物事に親から許可が出て触れられることになった時の子供の心境みたいなもんですかね。
多分この時の私の表情は、きっと世界中の誰よりも嬉しそうだったに違いない。
だって、トラクター。一度自分で運転してみたかった!


Peterさんと座る場所を交代して、説明を受ける。
よく見れば、以前乗ったフォークリフトとあまり変わらない。
ウサギとカメの絵は、多分速さを表しているのだろう。
クラッチを戻しながらアクセルを踏みこむ。ガコンと音がして、車体が進み始めた。
大きな叫び声と笑い声をあげながら、トラクターを進める私。
Peterさんが横でくすくす笑っている。外でSさんとDavidさんも笑っている。

「もっとスピードあげてごらん!」

Davidさんに言われて、私はもう少しだけスピードをあげてみた。

意外に小回りが利く (まぁ、後ろに何もついてないってのが大きい。)のだけど、コーナーを曲がる時はやはりなかなか難しい。
ただ、これでも一応(車の)レースにも出てたことがある私。
最初の段階で一度だけエンストしたのだけれども、運転についての感は悪くないので2周目を回る頃にはすいすいと進む事が出来、元の場所にもしっかり駐車。
これにはPeterさんがちょっと驚き。
運転自体は難しくないのだけど、やっぱり曲がるとか、一定の場所に上手に入れるってのが慣れるまで難しいのだってさ。


その後、PeterさんとDavidさんはSさんにも運転を勧めたがさすがに彼女は断った。
「だって私、免許持ってないもの。」
あ、知らんかった。そうかー。さすがに怖さもあるもんね。ぶつけたらどうしよう、とか。
敷地内は免許いらないよ、と、強引な事を言われてたけれど、結局彼女はDavidさんに運転してもらって、やっぱり2周の小旅行。
運転席に初めて乗れて楽しかったとご満悦でした。


「お、12時を過ぎたよ。そろそろお昼を食べに行こうか?」

車で10分くらいの所に悪くないパブがあるからそこで食べようという事になった。
Peterさんに後でもう一回来るよと伝え車に乗り込み、雨の中、我々はそのパブへと向かった


その27に続く。
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by top-to-toe | 2010-12-30 03:08 | Nikon 写真


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