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2009年 11月 29日

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"The days in Europe"
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FUJI Superior 400




昨日の新聞で、機内持ち込みの荷物サイズの記事を読んだ。各社統一の一律になるらしい。
まぁ、これは別にいいんだとは思う。問題は、持ち込む荷物の「質」についてである。

今回記事になっていたのは、「楽器」について。
どうやら今までOKだった楽器についても手荷物で入れれないことになるらしいのだよね。
入れれても座席の半額(会社によっては一律1万円。)

私は音楽に関しては素人だ。それでも演奏家にとって楽器が他の何よりも大事というのはわかる。
いくら会社側がケアをすると言ったって、手元に置いておきたいだろう。木製のものは湿度なんかの問題もあるだろうし。
古いカメラを使用してる人には反論されそうだが、ハイレベルな音楽家が持つ楽器は
カメラなんかよりもはるかにデリケートに扱われうべきだと私は思う。
(これについては長くなるから書かないけど、ようは楽器は遠い昔に「完全なる完成形」となり、進化がいらないからだということが根底にある。)

「特別扱いは他の特別なものを預けて頂いてるお客様と不公平」

読んでてあほらしくて嫌になった。
演奏のために飛ばなくてはならない人々の楽器を「特別」にしなくてどうするのだろう。
記事にも書いてあったけど、何度も何度も地方を行き来する団員の負担は楽団の負担となり
結果、それは私たちのチケットに上乗せされることになったり、公演自体が減ったりする可能性が増える。
これはただ音楽を聴くのが好きだという大人の世代にも影響あるが、それよりもこれから育つであろう若い芽が枯れてしまう原因になりかねない。


「いいものには対価を払うのは当然。」
チケットが高くなったっていいものにお金は払われるし、そうやっても聴きたい人は聴きに行くだろう。
けれども選ばれた人やそれを自らが好きな人だけが聴きに来るようでは下は育たないのである。


私はこれに似た状況を音楽だけでなく、色々な場面で見てきてる。
日本は現在こういう「とりあえず今」や「社会の中だけど自分たちのことだけ」的な人々がはびこっているのだ。
そのくせしてそういう輩ほど文化は守っていかねば、とか「私たちこんな素晴らしいことしています」的なことを平気で語ろうとするのだ。

悲しいことに社会を動かしてる世代の人々の中で「本当に長い目で見る」や「先を見とおす」ことが非常に苦手とする人が現在の日本にはなんと多いことだろう。
いや、見れてる人はいるのかもしれないが、それを実行できる人がいないことが問題なのである。

多分先人たちはそうじゃなかったと思う。なぜなら日本の文化は長い歴史と共に素晴らしいものとなってきた。
けれどもあんまり批判的なことは言いたくはないが、現在上になっている方々は「儲け第一主義」によって、
「目の前の『自分達の問題』だけ解決」を繰り返してるようにしか見られない。
この解決方法は次世代の人間にも引き継がれ、結果、日本は多くの場所で「文化<金」になっているのである。
「社会貢献してますよ」なのもよく見るけれど、大きな会社ほどやたら「グローバル」なものになってて、
おいおいグローバルはいいけど国内のこともやれよ、あんたら企業は日本人の消費によって支えられてるんだよ、と言いたくなるのである。

日本と比べてヨーロッパやアメリカなどの先進国にも悪いところがあることだって知っている。
けれどもこの文化やそれを支える土壌をを育てる、保存・継承していくという部分では日本は本当に遅れているなと思います。
遅れているというよりは、壊れてしまったと言うべきか。

評価主義なんかよりもこういうところをむしろ真似するべきなんじゃないの?
外国を真似してもいいんだけど、どうせなら中途半端にするなよ、と言いたい。

アメリカなんかはプラグマティズムの塊みたいなもんだけど
文化的なものを残そうという動きが良い方向に働いているのもこのプラグマティズムが徹底しているからだと私は思う。
「現在多少痛みを負っても、土壌を作ることは最終的な得になりえる。」

ほんと、中途半端だよなぁ、ニッポン。
私は日本人に生まれたことは誇りであるけれども、大人になってから見てきているこの悪い意味での利益第一主義には辟易する。
多分アーティストの多くはそれを感じているんだと思うんだけど。


まぁ、とにもかくにも、楽器の持ち込みだけは、OKにしてあげたいもんである。
ちょっと、署名とかないかどうか探して見たいと思いまーす

by top-to-toe | 2009-11-29 11:26 | 銀塩 写真


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